発達障害だってお金稼ぎたい

はじめまして。あさりちゃんと申します。会社員をやりながら、日本福祉大学通信教育部で学んでいます。「発達障害を抱える従業員への人材育成について」というテーマで、卒論を書いています。

さてこの記事では、何故このテーマを取り上げたかについて述べたいと思います。

====================

 

「大人の発達障害」という言葉が、一般的にも認知されるようになりました。

しかし、これまでに社会福祉業界で取り組まれてきた精神障害当事者への就労支援の多くが、障害があっても働きたい人を対象としたものでした。

彼らの自己実現に向けて、就労機会の場を提供や障害者雇用の枠を使い、一般企業にて合理的配慮を受けながら就労する、といった場面を想定した取り組みでした。

発達障害精神障害の1カテゴリーです。そのため、同じような場面は多いです。

現在、多くの福祉現場では、働きたいという希望を抱きつつも、就労そのものが困難な発達障害当事者に向けて、就労移行支援や就労継続支援といった社会福祉サービスを経て、障害者雇用での一般企業への就職を目指す支援をしています。

このような当事者に対しては既に制度化されており、一定の成果は上がっていると考えています。

もちろん、現状ではまだまだ不十分な点はあるので、あくまでも「ある一定の」と捉えて下さい。

 

一方で企業に就職することは出来ているものの、就職先の企業内で日々苦しい思いを抱えている当事者の方も多いのが実情です。

特定の環境や場面に限って制限が生じる場合や、就労は何とか出来ているものの、明らかに周囲より仕事の処理が遅れてしまっている場合などです。

軽度の方やグレーゾーンの方などは、このケースではないでしょうか。

こういった当事者の方々には、現状の福祉制度下での就労支援は全然合わないはずです。

ある程度の専門性は持っているものの、周囲より劣ってしまって辛い。

でも、出来ることだってある。

だから自分の苦手や特性を理解してもらった上で、仕事の下ろし方に何かしらの配慮をしてもらいたい。

発達障害ではあるけれど、自分だって組織に貢献したいし、それなりの給料だって欲しい。

せめて平均レベルの業務アウトプットを出せるようになりたい……そういう思いを抱えていらっしゃる方も、きっと多いはず。

 

障害者雇用の場面で必ず耳にする言葉で「合理的配慮」というものがあります。

 

そうだと思います。

そうだと思う一方で、一般企業で求められる合理的配慮とは「苦手な分野を免除するものではない」とも思うんです。

やりたくても出来ないから障害なんだ。そのための障害者就労なんだから、ちゃんと配慮してくれよ!という声は至極もっともです。しかしそれでは一般社員と同じ水準の給与を、企業は払うことは出来ません。企業は社員の成果物、業績に対して給与を支払うからです。

 

私は今、従来の地域福祉だけでなく、企業内福祉も必要な時代がきたのではないかと考えています。

具体的には、苦手な分野であっても、苦手だから丸ごと免除するのではなく、企業側が合理的配慮という名の支援を加えることで、発達障害当事者であっても、結果的に一般社員と同等の成果を出せるようにし、その成果にはきちんと給与で応じる。そして、障害者であっても、業績に応じて、昇格、昇進の機会を等しく与えるというものです。

 

かつての就労支援事業の現場では、障害者を就職させること、離職を避けることで手一杯でした。

時代が進み、今は障害者であっても組織の戦力として活用しなければならない段階になったと考えています。

そのため何らかの発達障害により、合理的配慮を必要としていたとしても福祉的な観点ではなく、今こそ組織にとって必要十分な戦力となり得る人材育成の検討が早急に必要だと思うわけです。